◆厚生労働省、被災者支援措置として死亡認定期間を短縮[2011年5月2日]
 厚生労働省は5月2日、「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」を施行し、東日本大震災で行方不明になった人を死亡したと推定するまでの期間を短縮する措置を実施した。厚生年金保険法・国民年金保険法の死亡に係る給付を現行の災害発生後1年以降から3カ月に短縮したもので、これにより6月11日以降、家族が申請すれば遺族年金などを受け取れるようになる。民間生保会社の死亡保険金給付もこの措置を参考にする可能性もあり、今後の動向が注目される。ただし、今回の特例では家庭裁判所が災害後1年以上経過しなければ失踪(しっそう)宣告できないことから戸籍上は1年が経過しないと死亡と見なさない。
 「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」は、内閣府や財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、防衛省の施策に関する特例措置を盛り込んだ。厚生労働省関係では、第97条で厚生年金保険法を一部改正し、行方不明となった人の生死が3カ月間分からない場合に3月11日に死亡したと推定。第99条で国民年金法も一部改正して同様の措置を講じることとした。
 東日本大震災による現時点での行方不明者数は約1万人。厚生労働省年金課によると、「通常であれば、民法によって不在者の生死が7年間不明だった場合に家庭裁判所は失踪(しっそう)宣告する。一方、水難や火災などの災難によって死亡したことが確実で、遺体が災害発生後1年以上見つからない場合に家庭裁判所は死亡を認定する。しかし、今回、被災者の生活がひっ迫しているため、給付時期を早めるために期間を短縮して、3カ月とした」と言う。1995年の阪神大震災では死亡認定を適用する法改正は実施されていないが、今回は津波による行方不明者が多数に上るため、こうした措置を講じることにした。
 民間生保の死亡保険金は保障期間中に被保険者が死亡したときに一時金または年金の形で受け取れる。災害死亡割増特約は、自然災害などの不慮の事故により死亡または高度障害になった場合に死亡保険金に加えて支払われる。生保協会はすでに被災者支援の一環として、行方が分からずに死亡したと見なされる場合でも死亡保険金を支払えるようにするため、公的機関による事実上死亡を認定する証明書があれば戸籍の抹消の有無に関係なく、死亡保険金を支払う措置を実施。これによって、死亡保険金を受け取るのに必要な病院などの死亡診断書がなくても保険金が支払われることになった。今回の法律が公的機関の証明書の根拠とされる可能性が高い。