<06/10/12> コンバインド・レシオ
コンバインド・レシオは、損害保険会社の収益力を示す重要な指標の一つとして、日本の損害保険各社のディスクロージャー資料などに、普通に掲載されるようになってきている。コンバインド・レシオは「合算率」とも呼ばれ、文字どおり正味損害率と正味事業費率とを合算したものである。したがって、損害保険事業を運営するうえで、保険料収入に対して保険金の支払いや事業費の支出の割合が小さいほど、その損害保険会社の収益力は高いということになる。その逆にコンバインド・レシオが100%を超えるということは、収入よりも支出の方が大きいということで、収益力が低いどころか保険引受損失を被っている会社と評価することができる。
ただし、損害保険会社の収入は保険料だけではなく、資産運用による収益もかなりのウェイトを占めており(とはいえ、その時々の経済環境等に左右されるが)、コンバインド・レシオが100%を上回ったからといって、経営状態が厳しい状況にあると短絡的に評価することはできない。現に、米国など諸外国の事業成績をみると、コンバイド・レシオが100%を超えている会社がいくつもあり、過去金利水準が非常に高い時代には、収入した保険料から生まれてくる資産運用益をあらかじめ見込んで保険料を安く(明らかにコンバイド・レシオが100%を超えることを見越して)引き受けを行い、結局は大きな問題を残してしまった時代もあった。
ところで、コンバイド・レシオを計算する方法も一つではないことにも注意が必要である。損害率および事業費率の計算に、リトンベースを用いるかアーンド/インカードベースを用いるか、またはその両方を混合して用いるかによって、当然ながら数値は変わってくる。したがって、算出されている数値を厳格に見るというよりも、むしろ対前年度比あるいは他社比較などを通じて大まかな水準として捉えておく必要がある。
(2006年9月22日 日刊 4面)
保険用語研究会