第一生命、議決権行使ガバナンスを強化、第三者視点で適切性監査
 第一生命は資産運用先である投資企業の今期株主総会議案の議決権行使について、ガバナンス態勢強化と利益相反のより適切な管理のため、4月に「責任投資推進室」と「責任投資委員会」を新設する。責任投資委員会では、重要な議決権行使について審議するとともに、スチュワードシップ活動やESG投資(注)の取り組み状況などについて確認を行う。同委員会の審議・確認の結果については、外部の監査役が過半数を占める監査役会に報告し、第三者視点によるプロセスの適切性監査を行うことでモニタリング態勢をさらに充実させるとしている。
 株式部・特別勘定運用部と複数の部署に分かれていたスチュワードシップ活動(議決権行使・対話活動など)の執行権限を「責任投資推進室」に集約する。「責任投資推進室」はスチュワードシップ活動の専門性を高め、利益相反管理体制などを明確にする責任所管と位置付けられている。責任投資委員会は、責任投資推進室・運用企画部の他、利益相反管理統括組織であるコンプライアンス統括部で構成され、責任投資推進室からはスチュワードシップ活動に関する事項、運用資産部門各部からはESG投資に関する事項が付議される。
 具体的には、スチュワードシップ活動の視点では@個別判断を要する重要な議決権行使の審議Aスチュワードシップ活動方針、重要規程などの審議Bスチュワードシップ活動結果の確認、ESG投資では@その取り組み状況の確認APRI(責任投資原則)年次アセスメント結果の確認―が行われる。
 同社の国内株式の一般勘定運用残高は3兆6000億円(2016年第3四半期末)。この他に特別勘定として年金基金などのアセットオーナーから運用を受託しているが、これら二つの勘定から株式投資している会社の株主総会議案が議決権行使の対象となる。
 議決権行使については基本的考え方、行使に係る意思決定プロセスなどの議決権行使基準をあらかじめ社内で定めている。この意思決定プロセスは、個別精査を経ずに反対する議案や個別精査をする重要議案の区分に従いスクリーニングを行う。個別精査を経ずに反対する議案については、外形的な基準で行う一方、個別精査する重要な議案については、非財務面や対話内容も踏まえた上で賛否を判断している。
 議案に反対する場合は、投資先企業に、事前に理由を知らせたり、その原因や解決につきエンゲージメント(対話)を行ったりして議決権行使基準の周知を図っている。
 今回の改革は、従来、社内規定にのっとったやり方や内容で賛否判断を行い、適切な議決権行使を行ってきたが、外部監査役の監査を入れることによりプロセスを透明化し、同社の機関投資家としてのガバナンスを一層強化することで、外部からの同社に対する信頼性をさらに増すことが目的としている。
 (注)SRI(社会的責任投資)とCSR(企業の社会的責任)を発展的に統合した考え方で、ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治・ガバナンス(Governance)の頭文字。企業への投資は、長期的な収益向上と持続可能な国際社会づくりに貢献するESGの視点を重視して行うのが望ましいとの見解を国連が提唱した結果、ESGの視点で投資を行う動きが、欧米や日本の金融機関で広がっている。