<06/12/21> ストックオプション疑惑―広がる監督当局の調査対象―
「オプションを与えた日付を操作」―これはバックデート・オプションとして知られている。これに関して現在米国ではきわめて有名な企業も含めて調査の対象となっている。
操作の仕方は単純である。現時点から過去を遡り、現在より株価が低かったところをストックオプションの権利付与日とするものである。
これ以外に、ファントムと言って実際には実在しない従業員を創出し、その従業員にストックオプションの権利を付与し、取締役・執行役が権利行使をする、という完全な詐欺行為も出現している(ちなみに、米国の相互会社においてファントムという言葉を別の意味で用いているものがある。これは合法に行われているものである)。
ストックオプションの有利発行については完全に法律で禁止されているわけではない。株主総会などの決議機関での適切なデュー・プロセスを尽くせば合法的に行うことができる。
その際の課税問題については現在も日米では懸隔があり、論争の種となっている。それはともかく、このバックデート・オプションなどの不正行為とおぼしき行為は新興IT産業で多く行われている。その結果か、シリコン・バレーでは三週間ルールというルールがあり、その間ではストックオプションのバックデートが日常茶飯事であったとの報告もある。
(2006年12月14日 日刊 4面) 保険用語研究会